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見つかった遺言書は、勝手に開封しない方が良いでしょう

ご機嫌よくお過ごしですか。横田司法書士事務所の横田です。

司法書士は身近な法律家です。

遺言書についてもどうぞお気軽にご相談ください。

「父の自宅から遺言書が見つかったのですが、勝手に開封して良いのですか?」というご質問を受けるときがあります。

見つかった遺言書は、勝手に開封しない方が良いでしょう。

開封したことで、過料が科される場合があります。

遺言書とは、遺言を残した人が亡くなった後に、財産の分割について揉めないようにするための書類です。

そのためには、その遺言書が法律上の効力がある形式でなければなりません。

それでは、法律上の効力がある遺言書とはどのようなものでしょうか?

遺言書についてもう少し詳しく、やさしく説明しましょう。

遺書(いしょ)

遺言(ゆいごん)と意味が似ている言葉に遺書(いしょ)があります。

遺書は、法律上の効力とは関係なく、死後のために書き残す文書や手紙を意味します。

財産の分割についてではなく、最愛の奥さまへの感謝の気持ちが書かれているのは遺書です。

一般の社会で遺書が広い意味で使われるときには、遺言書を含むときがあります。

しかし、法律上の効力がある遺言書に、司法書士が遺書という言葉を使うことはありません。

遺言の読み方は、ゆいごん?いごん?

一般の社会では遺言の読み方は「ゆいごん」ですが、法律の専門家は「いごん」を使います。

一般用語の遺言と区別するために、法律用語の遺言を「いごん」と読んでいるに過ぎません。

法律の専門家が「いごん」と言っても「ゆいごん」のことだと思っていただいて問題ありません。

法律上の効力がある遺言書

法律上の効力がある遺言は、種類と形式が定められています。

  • 普通方式の遺言書
    • 自筆証書遺言
    • 公正証書遺言
    • 秘密証書遺言
  • 特別方式の遺言書
    ※緊急事態などの特殊な事態で作成する遺言。ここでのご説明は割愛させてください。

法律上の効力がある遺言書であるためには、確かにご本人の意思表示であることが必要です。

例えば、簡単なメモ書きでは、ご本人の意思表示であることが分からないですよね。

そこで、遺言書には形式や立会人などが法律で定められています。

普通方式の遺言書について、形式を大まかに説明しましょう。

  • 自筆証書遺言
    全文・日付・氏名をすべて自筆し、印鑑を押印します。
    内容の訂正にも厳格な決まりがあります。
  • 公正証書遺言
    証人2人以上の立ち会いの下、公証人の前で遺言の内容を口頭で説明し、公証人が遺言書を作成・保管します。
  • 秘密証書遺言
    封印した遺言書を証人2人以上の立ち会いの下、公証人に提出します。

開封方法

自筆証書遺言、秘密証書遺言を発見した場合には、すみやかに家庭裁判所に「検認」の申立てをしなければなりません。

「検認」とは、家庭裁判所が遺言書の存在および形式について調査する手続きです。

「検認」の目的は、遺言書の変造・偽造・隠匿を防ぐことです。

公正証書遺言は検認を要しません。

これらは、民法で定められています。

  1. 遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。 遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
  2. 前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
  3. 封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。

民法1004条(遺言書の検認)

「検認」の申立てには、遺言者の戸籍謄本、相続人全員分の戸籍謄本などが必要です。

申立ての書類に不備がなければ、1〜2週間で相続人全員に検認期日の通知書が届きます。

検認期日に申立人が家庭裁判所に未開封の遺言書を持参して、開封の手続きとなります。

勝手に開封すると...

封をしてある自筆証書遺言を家庭裁判所外で開封すると、5万円以下の過料になります。

前条の規定により遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外においてその開封をした者は、五万円以下の過料に処する。

民法1005条(過料)

開封されても遺言自体の効力に影響を与えることはありません。

なお、偽造・変造・破棄・隠匿など遺言書に手を加えると相続人の資格を失います。民法891条(相続人の欠格事由)で定められています。

おわりに

司法書士は身近な法律家です。

遺言書についてもどうぞお気軽にご相談ください。

見つかった遺言書が、法律上の効力があるかどうか分からなくても、お気軽にご相談ください。

ところで、2020年7月10日から自筆証書遺言書保管制度が始まりました。

自筆証書遺言の形式をチェックし、法務局が保管してくれる制度です。

本文中では触れませんでしたが、相続時、家庭裁判所における検認が不要です。

自筆証書遺言書保管制度、自筆証書遺言についてのご相談も歓迎いたします。

横田司法書士事務所は、あなたの立場でご満足いただけるサービスを提案いたします。

お悩みを伺っただけで、費用を請求することはございません。

どうぞ、お気軽にご相談ください。